フランスのSIMカードは、日本からの旅行者でも空港や街の店で買えます。ただし開通してから15〜30日以内に、パスポートの写しを使って自分の名義で登録しないと回線が止まります。これは事業者がフランスの法令にもとづく義務として求めているものです。さらに、大手4社のうちBouygues Telecomは2025年6月30日でプリペイドを全面的に終了しており、Freeのプリペイドはフランス本土との継続的なつながりを契約の条件にしています。旅行者が現実的に選べるのは、OrangeとSFRのプリペイドです。この記事では、4社の公式ページと約款をもとに、フランスのSIMカードの買い方と注意点を整理します。

登録の手間をかけずに到着直後から通信したい場合は、日本で設定しておけるフランス向けeSIMがあります。Coral eSIMのフランスプランから、滞在日数に合う容量を選べます。

フランスのSIMカードは「買った後の本人登録」が義務

フランスのプリペイドSIMは、店頭で身分証を見せないと買えないわけではありません。多くの場合、SIMを差し込んで網につながった時点で開通し、すぐに使い始められます。そのかわり、一定の期限までにオンラインなどで本人情報を登録することが求められ、期限を過ぎると停止されます。各社の公式な案内は次のとおりです。

事業者登録の期限登録しなかった場合
SFR(La Carte)開通後15日以内停止されることがあり、開通から45日以内に回線が切断される
Orange(Orange Holiday/Orange Travel)使用開始・到着から30日以内回線が停止・無効化される
Free(Free Prépayé)注文時に本人情報を提供15日以内に停止され、停止から7日で解約されることがある

SFRとOrangeはどちらも「法令上の義務」と説明している

SFRは本人登録を、1991年7月10日の法律第91-646号(電子通信による通信の秘密に関する法律)にもとづく省からの要請によるものだと説明しています。この法律は2012年に国内治安法典(Code de la sécurité intérieure)へ内容を変えずに編纂され、法律としては廃止されていますが、SFRの案内は現在もこの表現です。Orangeの旅行者向けサイトも「フランスの法令に従い、すべてのSIMは使用開始から30日以内に登録が必要」と案内しています。店の方針ではなく、どの事業者でも避けられない手続きだと考えておくのが安全です。

登録にはパスポートの写しと日本の住所が必要

Orangeの旅行者向け登録フォームでは、SIMの番号、氏名、居住国(日本)の住所、生年月日を入力し、有効なパスポートの写しをアップロードします。画像はjpeg・png・pdfで5MB未満、写しが読めない場合は登録が却下されます。登録できるのは18歳以上です。Orange Travelのサポートページによると、審査には約10日かかります。パスポートの顔写真ページを事前にスマートフォンで撮影しておくと、現地で慌てずに済みます。

この登録を旅行中に済ませる手間を省きたいなら、Coral eSIMのフランスプランのように出発前に設定できるeSIMを選ぶ方法もあります。設定手順は海外旅行用eSIMの設定方法にまとめています。

フランスの4大キャリアで、旅行者がSIMカードを買えるのはどこか

Orange:旅行者向けの「Orange Holiday」がある

Orangeは旅行者向けのプリペイド「Orange Holiday」を用意しています。欧州向けの「Holiday Europe」と、欧州以外も対象の「Holiday World」があり、SIMカードとeSIMの両方で提供されています。Holiday Europeは欧州の40か国以上で使えると案内されています。購入できる場所は、Orangeのオンラインサイト、フランス本土のOrangeショップ、空港や駅にある一部のRelay(売店チェーン)、たばこ店です。

SFR:プリペイド「La Carte」と欧州向けのTravel SIM

SFRはプリペイドの「SFR La Carte」を販売しており、欧州とフランスの海外県(DOM)で使える30日有効の「European Travel SIM」もあります。販売場所はSFRの販売店、Relay、たばこ店、スーパーです。SFRのプリペイドはすべて有効期間が31日で、続けて使うには31日以内のチャージが必要です。前の章のとおり、開通から15日以内の本人登録を忘れないようにしてください。

Bouygues Telecom:プリペイドは2025年6月30日で終了

Bouygues Telecomは公式サイトで、2025年6月30日をもってすべてのプリペイドのサービスを終了すると告知しています。古い旅行記事で「Bouyguesのプリペイドが安い」と紹介されていても、現在は買えません。

Free:プリペイドは「フランス本土とのつながり」が条件

FreeのプリペイドFree Prépayéは、約款(2026年8月版)でフランス本土との継続的なつながりを証明できることと、有効なメールアドレスを契約の条件にしています。短期の観光客が満たすのは難しい条件で、旅行用の選択肢としては考えにくいでしょう。

パリ・シャルル・ド・ゴール空港でフランスのSIMカードを買える場所

Orangeの店舗検索では、Orange Holidayの取扱店としてシャルル・ド・ゴール空港ターミナル2Eの到着手荷物受取エリアが掲載されています。ほかにもパリ北駅などが取扱店として掲載されており、Orangeは空港や駅の一部のRelayでも販売しているとしています。SIMカードは差し込んで網に接続した時点で開通します。

ただし、各売り場の営業時間や、ほかのターミナル・オルリー空港での取り扱いは、公式情報では確認できませんでした。深夜や早朝に到着する場合、売り場が開いていないこともありえます。空港でSIMを買うか、出発前にeSIMを用意するかの比較は空港で買うSIMとeSIMの比較で解説しています。空港や駅には無料Wi-Fiもありますが、ホテルや配車の連絡に使うには自分の回線があるほうが確実です。

フランスのSIMカードをほかのEU諸国で使うときのルール

フランスのSIMは、EUの「ローム・ライク・アット・ホーム」の規則により、ほかのEU加盟国でも追加料金なしで国内と同じ条件で使えます。欧州委員会の案内によると、対象はEU加盟国に加えてアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、モルドバ、ウクライナです。この規則はEU規則2022/612で2032年6月30日まで延長されており、技術的に可能な場合は国内と同じ品質と通信世代で使えることも定められています。

ただし、周遊旅行で使う場合は次の2点に注意してください。

  • プリペイドはEU域内で使えるデータ量が少ないことがある:欧州委員会は、プリペイドには国外でのデータ上限がかかる場合があると説明しています。SFRのプリペイドでも、200GBのプランのうちEU域内とDOMで使えるのは32GBと案内されています
  • 国外での利用が続くと追加料金の対象になりうる:事業者は4か月の期間で国内と国外の利用状況を確認でき、国外での滞在や利用が多い状態が続くと追加料金がかかることがあります

イギリスはEUを離脱しており、この規則の対象外です。フランスからイギリスへ移動する予定がある場合は、イギリスの現地SIM事情も確認してください。欧州全体で使えるプランの比較はヨーロッパのSIMカード比較にまとめています。

フランスのSIMカードの代わりにeSIMを使う

Orange Holidayのように、フランスの事業者もeSIM版の旅行者向けプランを出しています。ただしOrange Travelのサポートページによると、一部のeSIMではデータ専用のプランでも本人確認がフランス法上の義務とされており、30日以内の登録が必要です。現地事業者のeSIMでも、登録の手間そのものはなくなりません。

一方、日本で購入する旅行用eSIMは、出発前に設定して、到着後に機内モードを解除するだけで使えます。フランスの電話番号は付きませんが、地図や配車アプリ、メッセージアプリの利用には十分です。現地の番号が必要かどうかはeSIMと電話番号の関係を参考にしてください。eSIMを使うには端末がeSIMに対応し、SIMロックが解除されている必要があります(SIMロック解除の確認方法)。

フランスのSIMカードについてよくある質問

フランスのSIMカードを買うのにパスポートは必要ですか?

多くの場合、購入時よりも開通後の本人登録で必要になります。SFRは開通後15日以内、Orangeは30日以内の登録を求めており、Orangeの旅行者向けフォームでは有効なパスポートの写しをアップロードします。登録しないと回線が停止されます。

シャルル・ド・ゴール空港でSIMカードは買えますか?

Orangeの店舗検索では、ターミナル2Eの到着手荷物受取エリアがOrange Holidayの取扱店として掲載されています。Orangeは空港や駅の一部のRelayでも販売しているとしています。営業時間は公式情報で確認できなかったため、深夜や早朝の到着では注意が必要です。

Bouygues TelecomやFreeのプリペイドSIMは旅行者でも買えますか?

Bouygues Telecomは2025年6月30日ですべてのプリペイドのサービスを終了しています。Freeのプリペイドは、約款でフランス本土との継続的なつながりを契約の条件にしているため、短期の旅行者には向きません。

フランスで買ったSIMカードはほかのEUの国でも使えますか?

EUのローミング規則により、EU加盟国とアイスランド・リヒテンシュタイン・ノルウェー・モルドバ・ウクライナでは国内と同じ条件で使えます。ただしプリペイドはEU域内で使えるデータ量に上限があることが多く、イギリスは対象外です。

フランスの事業者のeSIMなら本人登録はいりませんか?

Orange Travelによると、一部のeSIMではデータ専用のプランでも本人確認がフランス法上の義務で、30日以内の登録が必要です。登録の手間を省きたい場合は、日本で購入して出発前に設定する旅行用eSIMを使う方法があります。

フランスのSIMカードは「買えるか」より「登録を済ませられるか」で選ぶ

フランスでは、SIMカードを手に入れること自体は難しくありません。つまずきやすいのは、開通後の本人登録の期限と、事業者ごとの条件です。Bouyguesのプリペイドはすでに終了し、Freeはフランス本土とのつながりが条件のため、旅行者の選択肢は実質的にOrangeとSFRです。どちらを選ぶ場合も、パスポートの写しを用意し、期限内に登録を済ませること、そしてほかのEU諸国へ移動するならEU域内で使えるデータ量を確認しておくことが大切です。この手続きを旅行中に抱えたくない場合は、出発前に設定できるeSIMのほうが確実です。

フランスで使えるプランはCoral eSIMのフランスプラン、ほかの国のプランはプラン一覧から確認できます。

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