SM-DP+アドレスとは、eSIMのデータ(プロファイル)をスマートフォンに配信するサーバーの住所です。eSIMのQRコードの中身は、このアドレスと「マッチングID」と呼ばれる注文ごとの番号をつないだ「LPA:1$SM-DP+アドレス$マッチングID」という短い文字列にすぎません。そのため、QRコードを読み取れないときでも、購入元から届いたSM-DP+アドレスとアクティベーションコードを手で入力すれば、同じeSIMを追加できます。この記事では、GSMAの技術仕様(SGP.22)と各社の公式手順をもとに、文字列の意味と手動追加の手順、入力ミスの防ぎ方を整理します。
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SM-DP+アドレスとは:eSIMを配信するサーバーの住所
SM-DP+は「Subscription Manager Data Preparation+」の略です。GSMAの仕様書では、通信事業者のプロファイルを準備して暗号化し、特定の端末(eSIMチップごとの識別番号であるEID)に結び付けたうえで、端末へ安全にダウンロードさせる役割のサーバーと定義されています。Appleも法人向けの導入資料で、これを「通信事業者のeSIMサーバ(SM-DP+サーバ)」と呼んでいます。
SM-DP+アドレスは、そのサーバーのドメイン名です。スマートフォンはこのアドレスに接続し、マッチングIDを提示して「この注文のeSIMをください」と要求します。サーバー側は、自分が発行して知っているマッチングIDを含む要求だけを処理する決まりになっています。つまりSM-DP+アドレスは配信元の住所、マッチングIDは受け取りのための引換番号にあたります。
なお、通信事業者が端末に直接eSIMを割り当てる方法(Appleの案内でいう「eSIMキャリアアクティベーション」)では、利用者がアドレスを入力する必要はありません。旅行用eSIMのように、QRコードや文字列でインストール情報を受け取る場合に、このアドレスを意識することになります。
SM-DP+アドレスとアクティベーションコードの関係
GSMAの仕様書(SGP.22)は、アクティベーションコードを次の要素を「$」でつないだ文字列と定めています。
| 順番 | 要素 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 形式の番号 | 「1」(通常の形式) |
| 2 | SM-DP+アドレス | 配信サーバーのドメイン名(必須) |
| 3 | マッチングID | 注文ごとの引換番号(必須。英大文字・数字・ハイフンのみ) |
| 4以降 | 任意の項目 | サーバーの識別子、確認コードが必要かどうかの目印など |
仕様書に載っている例は「1$SMDP.EXAMPLE.COM$04386-AGYFT-A74Y8-3F815」です。そしてQRコードにするときだけ、先頭に「LPA:」を付けると定められています。つまり、QRコードの中身は「LPA:1$SMDP.EXAMPLE.COM$04386-AGYFT-A74Y8-3F815」のような文字列で、手入力用の情報と中身は同じです。アクティベーションコードの長さは、原則として最大255文字です。
「アクティベーションコード」という言葉の範囲に注意
仕様書でいうアクティベーションコードは、上の表の文字列全体です。一方、事業者の案内や端末の入力画面では、マッチングIDの部分だけを「アクティベーションコード」と呼ぶことがよくあります。SM-DP+アドレスと別の欄に入力する画面なら、入れるのは「$」の後ろのマッチングIDです。どちらの形で入力するかは、購入元の案内に書かれた形式に合わせてください。
確認コードはアクティベーションコードとは別
一部のeSIMでは、ダウンロードの前に「確認コード」の入力を求められます。仕様書では、確認コードはアクティベーションコードとは別の経路で利用者に渡すものとされています。Appleの公式手順も、求められたら通信事業者から提供された番号を入力するよう案内しています。
iPhoneでSM-DP+アドレスを手動入力してeSIMを追加する手順
Appleの公式サポートが案内している、eSIM情報を手動で入力する手順は次のとおりです。作業はWi-Fiにつながった状態で行います。
- 「設定」アプリを開く
- 「モバイル通信」または「モバイルデータ通信」をタップする
- 「モバイル通信プランを追加」をタップする
- 画面の下部にある「詳細情報を手動で入力」をタップする
- 購入元から受け取ったSM-DP+アドレスとアクティベーションコードを、画面の入力欄に合わせて入力する
- 確認コードを求められたら、提供された番号を入力する
入力欄の名前や並びは、Appleの公式ページには記載がありません。表示された欄の名前に合わせて入れ分けてください。
QRコードが同じiPhoneに表示されている場合
確認メールのQRコードをそのiPhone自身で開いている場合、AppleによるとiOS 17.4以降では、標準のメールアプリやブラウザに表示されたQRコードを長押しし、「eSIMを追加」をタップして設定できます。この方法が使えれば、文字列を手入力する必要はありません。
AndroidでSM-DP+アドレスとアクティベーションコードを入力する手順
Galaxy(Samsung)の場合
Samsung Japanの公式FAQでは、アクティベーションコードを手動で入力する手順が次のように案内されています。
- 「設定」から「接続」、「SIMマネージャー」の順に開く
- 「eSIMを追加」をタップする
- 「QRコードをスキャン」をタップし、スキャン画面の「有効化コードを入力」をタップする
- 通信事業者から提供されたアクティベーションコードを入力する
手動入力の入り口が、QRコードのスキャン画面の中にある点に注意してください。項目の名前はOSのバージョンによって異なることがあり、Samsungの英国向けの案内(2025年1月更新)では「Add mobile plan」から「Add using activation code」を選ぶ手順になっています。
Google Pixelの場合
Googleの公式ヘルプは、「設定」から「ネットワークとインターネット」、「SIM」、「SIMを追加」、「eSIMを設定」の順にタップし、画面上の指示に沿って操作するよう案内しています。eSIMに対応するのはPixel 4以降です。手動入力に切り替える項目の名前は、公式ヘルプでは確認できませんでした。スキャン画面に手動入力へ切り替える表示が無いかを確認し、見つからない場合は購入元のサポートに相談してください。
そもそもeSIMを追加するメニューが見当たらない場合は、設定にeSIMの項目が出ないときの原因を先に確認してください。
SM-DP+アドレスを入力するときの5つのチェック
仕様書の定義を知っていると、写し間違いに入力前に気付けます。
- 「LPA:」を入れていないか:「LPA:」はQRコードのときだけ付く目印です。アドレスとコードを別々の欄に入れる画面では、「LPA:1$」は入力しません。
- 「$」の位置で正しく分けたか:1つ目の「$」と2つ目の「$」の間がSM-DP+アドレス、2つ目の「$」の後ろがマッチングIDです。
- マッチングIDに小文字が混じっていないか:仕様上、マッチングIDに使える文字は英大文字、数字、ハイフンだけです。小文字に見える文字があれば写し間違いを疑ってください。「O」と「0」のような紛らわしい文字も見直します。
- 空白や改行が入っていないか:メールからコピーして貼り付けると、前後に空白が入ることがあります。
- インターネットにつながっているか:入力した情報をもとに、端末がSM-DP+サーバーへ接続します。Appleの法人向け資料でも、ファイアウォールを越えてSM-DP+サーバーにアクセスできることの確認を求めています。会社や学校のネットワークでうまくいかないときは、自宅のWi-Fiなど別の回線で試してください。
手動入力でもeSIMを追加できないときは
正しく入力しても追加できない場合の、エラー表示ごとの切り分けはeSIMをアクティベートできない時の対処法にまとめています。
特に注意したいのは、一度インストールに使ったアクティベーションコードは、多くの場合もう使えないことです。QRコードと手入力の文字列は中身が同じなので、QRで一度追加したeSIMを削除し、同じ文字列を手入力し直しても復元できないのが一般的です。コードを紛失した場合や、削除してしまった場合の対応は、eSIMのQRコードを紛失・削除した時の対処をご覧ください。
追加後の回線の切り替えなど、全体の流れは海外旅行用eSIMの設定方法で解説しています。
SM-DP+アドレスについてよくある質問
SM-DP+アドレスはどこで確認できますか?
eSIMの購入元が送るインストール案内(確認メールやマイページなど)に記載されています。QRコードしか無い場合でも、その中身は「LPA:1$SM-DP+アドレス$マッチングID」という文字列なので、2つ目の「$」の手前までがSM-DP+アドレスです。
SM-DP+アドレスは他の人と同じでも問題ありませんか?
問題ありません。SM-DP+アドレスは配信サーバーの住所なので、同じ事業者のeSIMなら多くの利用者で共通になりえます。利用者ごとに異なるのはマッチングIDの部分で、サーバーは自分が発行したマッチングIDを含む要求だけを処理します。
アクティベーションコードの入力欄には何を入れればいいですか?
SM-DP+アドレスと別の欄がある画面なら、2つ目の「$」の後ろにあるマッチングIDを入れます。入力欄の分け方は端末によって異なるため、購入元の案内に書かれた形式に合わせてください。
確認コードとアクティベーションコードは同じものですか?
別のものです。GSMAの仕様書では、確認コードはアクティベーションコードとは別の経路で利用者に渡すものとされています。求められるのは一部のeSIMだけです。
QRコードで失敗したeSIMを手動入力でやり直せますか?
QRコードの読み取り自体ができなかった場合は、同じ情報を手動で入力して追加できます。ただし、一度インストールまで済んだコードは使用済みになっていることが多く、手動入力でも再利用できないのが一般的です。その場合は購入元に再発行を相談してください。
SM-DP+アドレスとマッチングIDの2つがあれば、QRコードが無くてもeSIMは追加できる
eSIMのQRコードは、SM-DP+アドレスとマッチングIDを「$」でつなぎ、先頭に「LPA:」を付けた文字列を画像にしたものです。QRコードが読み取れなくても、この2つを正しく入力すれば、端末は同じサーバーから同じeSIMを受け取れます。iPhoneは「詳細情報を手動で入力」、Galaxyはスキャン画面の「有効化コードを入力」が入り口です。入力するときは「LPA:」を入れない、「$」の位置で分ける、マッチングIDは英大文字・数字・ハイフンだけの3点を確認すれば、写し間違いの多くは防げます。
旅行用eSIMはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。端末がeSIMに対応しているかはeSIM対応機種の確認方法で確認できます。
