アメリカでポケットWiFiとeSIMを比べるときに、先に見るべきなのは料金表ではありません。国内線での持ち運び、どの米国キャリアの電波を使うか、そしてレンタカーとの相性の3点です。全員が同じ車で動くロードトリップならポケットWiFiが成立しやすく、国内線を何本も乗り継ぐ旅程や、1人旅・別行動のある旅程ではeSIMのほうが手間が少なく済みます。

端末がeSIMに対応していれば、受け取りも返却もバッテリーの管理も発生しない形が選べます。アメリカ向けの容量はCoral eSIMのアメリカ向けプランから確認できます。

アメリカのポケットWiFi比較で、料金表に出てこない3つの差

レンタル各社の比較ページは、1日あたりの料金と容量で並んでいます。しかしアメリカの場合、旅程の形そのものが他の国と違います。国土が広く、都市間は国内線かレンタカーで移動し、1回の旅行で複数の州をまたぐ。この形が、ポケットWiFiとeSIMの差を料金以外の場所に生みます。

  1. 飛行機に乗るたびに、ポケットWiFiとモバイルバッテリーの扱いが問われる
  2. どの米国キャリアの電波につながるかで、つながる範囲が変わる
  3. 車内という「全員が同じ場所にいる時間」が長い

1つ目と2つ目はポケットWiFiに不利に、3つ目は有利に働きます。順に見ていきます。フリーWi-Fiの事情や国立公園の電波、3G停波の影響はアメリカのWi-Fi・通信環境にまとめているので、ここでは「持ち方」の比較に絞ります。

国内線に乗るならポケットWiFiのバッテリーは機内持ち込み

アメリカ旅行では、日本からの国際線に加えて国内線を1本、2本と乗り継ぐ旅程が珍しくありません。ここでポケットWiFiは、スマートフォンにはない手間を1つ抱えます。本体とモバイルバッテリーという、リチウム電池を2つ持ち歩くことです。

モバイルバッテリーは預け荷物に入れられない

米国連邦航空局(FAA)は、モバイルバッテリーを含む予備のリチウム電池は機内持ち込み手荷物のみと定めています。運輸保安庁(TSA)の案内も同じで、預け入れはできません。容量にも上限があり、100Wh以下は持ち込み可、101〜160Whは航空会社の承認が必要、160Whを超えるものは持ち込めません。

見落としやすいのは次の規定です。FAAは、搭乗口や機体の横で手荷物を預けることになった場合も、予備のリチウム電池とモバイルバッテリーは取り出して客室に持ち込むよう求めています。国内線は満席で頭上の収納棚が埋まり、キャリーケースをゲートで預けるよう案内されることがあります。その瞬間に、ポケットWiFi用のバッテリーを取り出す必要が出てきます。端子は短絡しないよう、ケースや袋に入れて保護しておきます。

ポケットWiFi本体を預けるなら電源を完全に切る

ポケットWiFi本体はリチウム電池を内蔵した機器です。FAAは、電池を内蔵した機器を預け入れる場合は電源を完全に切り、不意に起動しないよう保護することとしています。スリープ状態のままカバンに入れっぱなしにしがちな機器なので、基本は機内持ち込みにしておくのが安全です。なお航空会社によってはFAAより厳しい独自の規定を設けている場合があるため、利用する航空会社の案内もあわせて確認してください。

eSIMはスマートフォンの中にあるため、この手間が丸ごと消えます。乗り継ぎのたびにバッテリーの場所を気にする必要がなく、着陸してスマートフォンの機内モードを解除した時点でつながります。スマートフォン自体の充電対策はeSIM利用中のバッテリー対策にまとめています。

アメリカのポケットWiFiは「どのキャリアの電波か」を確認する

アメリカの携帯回線は、AT&T・T-Mobile・Verizonの大手3社が中心です。都市部ではどこを使っても困ることはほとんどありませんが、郊外や州をまたぐ区間では、キャリアによってつながる範囲に差が出ます。レンタルしたポケットWiFiは、借りた端末が接続する回線に固定されます。

FCCの公式マップで、ルート上の電波を事前に見られる

アメリカには、この差を自分で確認する公式の手段があります。米国連邦通信委員会(FCC)のNational Broadband Mapです。FCCの案内によると、このマップは各事業者の3G・4G・5Gのカバレッジを表示し、事業者どうしのエリアを比較できます。住所で検索すれば、その地点で電波を提供している事業者がわかります。

注意点は、FCC自身が書いている表示の意味です。マップのカバレッジは屋外、または走行中の車内で接続できる範囲を示しており、屋内は含みません。ホテルの室内や建物の奥ではこの通りにならないことがありますが、逆に言えば、レンタカーで走るルートの電波を見るにはちょうど合った地図です。

借りる前に確認すること

  1. そのポケットWiFiがどの米国キャリアの回線につながるか。会社やプランによって異なるため、申し込み前にレンタル会社に確認します
  2. そのキャリアが、旅程のルート上でカバーされているか。FCCのマップで、滞在する都市と移動する区間を見ておきます
  3. ハワイやアラスカが旅程に入る場合、プランの対象地域に含まれるか。「アメリカ」の表記だけで判断しないようにします

eSIMも、つながる回線はプランごとに決まっています。確認すべきことは同じですが、eSIMはスマートフォン1台で完結するため、回線を切り替えたくなったときに新しいプランを追加するだけで済む点が違います。ハワイを含む旅程の選び方はハワイで使えるeSIMの選び方を参考にしてください。

レンタカー旅行はアメリカでポケットWiFiが最も活きる場面

ここまではポケットWiFiに不利な点でしたが、アメリカには逆に有利になる場面があります。レンタカーのロードトリップです。

ポケットWiFiの最大の弱点は、1台を共有するため持っている人から離れると全員がつながらなくなることです。ところがレンタカーで回る旅程では、移動時間の大半を全員が同じ車内で過ごします。ナビを見る人、次の給油所や宿を調べる人、後部座席で動画を見る人が、1台に同時につながれます。車のUSB電源から給電できるため、バッテリー切れの心配も車内では小さくなります。

一方で、次のどれかが入るなら話が変わります。

  • 街に着いてから別行動をする。ショッピングと観光で分かれた時点で、端末を持たない側は通信手段を失います
  • 国立公園など、電波が届かない区間が長い。回線の形に関係なく圏外です。地図はオフライン地図の準備で入園前に落としておきます
  • 運転手が1人で、ポケットWiFiの管理まで担う。車を降りるたびに持ち出す人が決まってしまいます

同じ「車内で共有」は、eSIMを入れたスマートフォンのテザリングでも実現できます。運転手以外の誰か1人がeSIMを持ち、車内ではその回線を共有し、車を降りたら各自が自分の回線に戻る。この組み合わせなら別行動の制約も生まれません。設定はeSIMでテザリングは使えるかを参照してください。

アメリカでポケットWiFiを借りるべき旅程、eSIMが向く旅程

ポケットWiFiが向いている場合

  • 家族やグループで、レンタカー1台で全行程を回る
  • 同行者の端末がeSIMに対応していない。古い機種やSIMロックが残る端末が混ざる場合
  • ノートパソコンやタブレットなど、SIMを入れられない機器をまとめてつなぎたい
  • 国内線の乗り継ぎが少なく、日本の空港で受け取って返せる

eSIMが向いている場合

  • 国内線を複数回乗り継ぐ。バッテリーの持ち込みや取り出しを毎回考えずに済みます
  • 1人旅、または現地で別行動が入る
  • 出張や短期滞在で、荷物と手続きを減らしたい
  • 帰国便が深夜や早朝で、空港での返却に時間を割きたくない

アメリカの電話番号が必要な場合は現地SIMも選択肢になりますが、端末の条件で詰まりやすい国です。詳細はアメリカのSIMカード事情、一般的な比較はeSIMとポケットWiFiはどっちが得?で扱っています。アメリカ向けの容量はCoral eSIMのアメリカ向けプランから選べます。

アメリカのポケットWiFiを料金で比べる前に揃える条件

具体的な金額は各社の改定で動くためここでは書きません。比べるときは、表示価格の前に次の条件を揃えてください。

  1. 接続する米国キャリアと対象地域。ハワイ・アラスカを含むか
  2. 1日あたりの容量と、超過後の速度制限。「無制限」の表記でも条件が付く場合があります
  3. レンタル日数の数え方。日本出発日と帰国日の扱い、日付変更線をまたぐ移動での計算
  4. 受け取り・返却の場所と時間。帰国便の到着時刻に返却カウンターが開いているか
  5. 紛失・破損時の補償。国内線の乗り継ぎやレンタカーでの車内放置も含めて考えます

アメリカのポケットWiFiに関するよくある質問

アメリカ旅行にポケットWiFiは必要ですか?

データ回線は必要ですが、それがポケットWiFiである必要はありません。家族やグループでレンタカー1台で回る旅程ならポケットWiFiの共有が成立しやすく、国内線の乗り継ぎが多い旅程や1人旅、別行動が入る旅程ではeSIMのほうが手間が少なく済みます。

ポケットWiFiのモバイルバッテリーはスーツケースに入れてもいいですか?

入れられません。米国連邦航空局(FAA)と運輸保安庁(TSA)は、モバイルバッテリーを機内持ち込みのみとしています。搭乗口でキャリーケースを預けることになった場合も、モバイルバッテリーは取り出して客室に持ち込む必要があります。容量は100Wh以下が目安で、101〜160Whは航空会社の承認が必要です。

ポケットWiFi本体は預け荷物に入れられますか?

FAAは、リチウム電池を内蔵した機器を預け入れる場合は電源を完全に切り、不意に起動しないよう保護するよう求めています。スリープのまま入れてしまいやすい機器なので、基本は機内持ち込みにしておくのが安全です。航空会社によってはより厳しい規定があるため、利用する航空会社の案内も確認してください。

レンタカーで回るならポケットWiFiとeSIMのどちらが向いていますか?

全員が全行程を同じ車で動くなら、ポケットWiFiは車のUSB電源で給電しながら共有でき、相性の良い場面です。ただし街で別行動をするなら、eSIMを入れたスマートフォンのテザリングで車内だけ共有し、降りたら各自の回線に戻る形のほうが柔軟です。

レンタルするポケットWiFiがアメリカのどこでつながるかを事前に確認できますか?

できます。まずレンタル会社に、どの米国キャリアの回線を使うかを確認します。次に米国連邦通信委員会(FCC)のNational Broadband Mapで、そのキャリアのカバレッジを旅程のルート上で確認します。FCCのマップは屋外と走行中の車内での接続範囲を示しており、屋内は含みません。

アメリカでは「何人で割れるか」より「何回飛行機に乗るか」で決まる

アメリカのポケットWiFiは、条件が合えば良い選択肢です。レンタカー1台に全員が乗り、同じルートを一緒に回る旅程なら、1台を共有する形がそのまま活きます。その場合も、借りる前にどの米国キャリアにつながるかを確認し、FCCのマップでルートを見ておくことが、料金を比べるより先に来ます。

反対に、国内線を乗り継ぐたびにバッテリーの扱いを考え、別行動のたびに通信が途切れる旅程なら、その手間は料金表に出てこない負担になります。各自のスマートフォンに回線を入れておけば、この判断自体が要りません。アメリカ向けの容量はCoral eSIMのアメリカ向けプランから確認できます。

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