iPhoneは、iPhone XS・XS Max・XR以降の機種なら2つの回線を同時に待ち受けできます。ただし同時に使えるのは「待ち受け」までで、モバイルデータ通信は一度に1回線だけ、通話中はもう一方の回線への着信を原則として受けられません。2回線を入れてから戸惑う人の多くは、この仕組みを知らないまま設定を進めています。この記事では、Appleの公式サポート情報をもとに、2回線を使える条件、既定の回線とデータ回線の決め方、通話中の着信の扱い、相手ごとに番号が選ばれる仕組みを順に整理します。
海外旅行のときに、日本の番号を残したまま2回線目として旅行用eSIMを追加する使い方もできます。行き先ごとのプランはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。
iPhoneで2回線を使うための条件
Appleの案内では、2回線(デュアルSIM)に対応するのはiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降です。回線の組み合わせは機種によって次のように変わります。
- 物理SIM(nanoSIM)+eSIM:iPhone XS・XS Max・XR以降
- eSIM+eSIM:iPhone 13以降
- eSIMのみ:日本で販売されているiPhone 17は物理SIMに対応しておらず、eSIMでアクティベートする。2回線にするならeSIMを2つ使う
eSIMは端末に8つ以上保存でき、そのうち同時に有効にできるのは2つです(iPhone 17の技術仕様とAppleサポートの記載)。旅行のたびに旅行用eSIMを追加しても、使い終わったものを残しておくこと自体はできますが、同時に待ち受けられるのは常に2回線までです。
違う通信事業者の回線を2つ入れる場合
Appleは「2つの通信事業者を使うには、iPhoneのSIMロックが解除されているか、両方のプランが同じ通信事業者のものである必要がある」と案内しています。会社から支給されたiPhoneで法人プランを使っている場合は、管理者への確認を求めています。SIMロックの確認方法はSIMロック解除の確認方法で解説しています。
iPhoneの2回線で最初に決める「既定の回線」と「データ回線」
2回線を入れると、iPhoneは回線ごとの役割を決めるよう求めます。後から変更できますが、意味を理解しておくと迷いません。
回線のラベル
それぞれの回線には「仕事用」「個人用」などのラベルを付けられます。「設定」→「モバイル通信」→ 回線を選んで「モバイル通信プランのラベル」から、自分で名前を入力することもできます。ラベルは通話履歴やメッセージの画面に表示されるので、どちらの番号で話しているかを見分ける手がかりになります。
既定の回線
既定の回線は、連絡先に登録していない相手に電話をかけたりメッセージを送ったりするときに使われる番号です。片方の回線をモバイルデータ通信専用にした場合は、もう片方が既定の回線になります。
モバイルデータ通信の回線
iPhoneが一度に使えるモバイルデータ通信は1回線だけです。「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」で、どちらの回線でデータ通信をするかを選びます。2回線を入れても通信量が合算されたり、2本の回線で同時に通信したりするわけではありません。
「モバイルデータ通信の切り替えを許可」
この設定をオンにすると、データ通信に使っていない回線(音声のみの回線)で通話している間、その回線が自動的に音声とデータの両方を使うようになります。オフのままだと、音声のみの回線で通話している間はモバイルデータ通信が使えません。ただしAppleの注記では、データローミングを使っている間はこの切り替えは機能しないとされています。
iPhoneの2回線で通話中にもう一方へ着信があったら
iPhoneのデュアルSIMは「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」という方式で、両方の回線で電話をかけることも受けることもできます。ただし、片方の回線で通話している最中に、もう片方の番号にかかってきた電話の扱いには条件があります。
- もう一方の回線の通信事業者がWi-Fi通話に対応していれば、通話中でもその着信に応答できる
- 通話中の回線がデータ通信用の回線でない場合は、「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオンにしておく必要がある
- どちらの条件も満たさないと、その着信は留守番電話に回る(通信事業者で留守番電話を設定している場合)
- このとき、もう一方の番号からの不在着信の通知は届かない
通話中にもう一方の回線が「圏外」と表示されるのは、その通信事業者がWi-Fi通話に対応していないか、Wi-Fi通話をオンにしていないか、「モバイルデータ通信の切り替えを許可」がオフになっているためです。
また、キャッチホン(割込通話)が働くのは、通話中と同じ番号にかかってきた電話だけです。取りこぼしを避けたい番号がある場合、Appleは一方の番号からもう一方への転送を使う方法を挙げています。仕事用と個人用を1台にまとめるなら、長電話の多い回線と、急ぎの電話が来る回線が同じ時間帯に重ならないかを考えておくと安心です。
iPhoneの2回線で相手ごとに番号が選ばれる仕組み
2回線の使い分けで意外と気づきにくいのが、発信する番号の選ばれ方です。iPhoneは既定の回線だけで発信するわけではありません。
電話は「前回その相手にかけた番号」が優先される
Appleの説明では、iPhoneはその連絡先に最後に電話をかけたときと同じ番号を使います。まだ一度もかけていない相手には、既定の回線が使われます。つまり一度でも個人用の番号で取引先にかけると、次からもその番号で発信されることがあります。
相手ごとに番号を固定したいときは、連絡先を開いて「デフォルト」をタップし、使う番号を選びます。発信前に番号を変えたい場合は、「よく使う項目」なら情報ボタンから、キーパッドなら画面上部に表示されている番号をタップして切り替えます。
メッセージ、iMessage、FaceTime
- メッセージ:新規作成で相手を入力したあと、表示されている番号をタップして送信に使う番号を選べる。会話の途中でも、画面上部の番号をタップして切り替えられる
- iMessageとFaceTime:どちらか一方の番号、または両方の番号で使うかを選べる
- RCS:iOS 18以降、対応する通信事業者の回線で使える
海外で日本の番号宛ての認証コードを受け取る方法については、海外でSMS認証コードを受け取る方法を参考にしてください。
海外でiPhoneの2回線を切り替えるときの考え方
海外旅行で2回線を使う典型的な形は、日本の回線を電話とSMSの待ち受けに残し、旅行用eSIMをモバイルデータ通信の回線にする構成です。この構成では、ここまで見てきた仕組みがそのまま当てはまります。
- データ通信は旅行用eSIMの1回線だけにする。日本の回線はデータローミングをオフにしておく
- 旅行用eSIMでデータローミングを使う設定の場合、「モバイルデータ通信の切り替えを許可」は機能しない。日本の回線で通話している間はデータ通信が止まる前提で考える
- Appleの注記では、データ通信用の回線でデータローミングがオンになっていると、音声専用の回線ではビジュアルボイスメールとMMSが使えなくなる
- 連絡先ごとの番号は、日本にいる間の設定が引き継がれる。海外から電話をかけるときは、発信前に表示される番号を確認する
出発前と現地到着後の具体的な設定手順はデュアルSIMで海外へ行くときの設定ガイドに、日本の番号を残す方法の比較は海外旅行中も日本の電話番号を使う方法にまとめています。
iPhoneの2回線についてよくある質問
iPhoneで2回線を入れると、両方の番号で着信できますか?
できます。iPhoneのデュアルSIMは両方の回線で発着信できる方式です。ただし片方で通話している間は、もう一方の回線の事業者がWi-Fi通話に対応していない限り、その番号への着信は留守番電話に回り、不在着信の通知も届きません。
iPhoneにeSIMはいくつまで入れられますか?
Appleの案内では、8つ以上のeSIMを保存でき、同時に有効にできるのは2つまでです。eSIM同士の2回線はiPhone 13以降で使えます。
違う通信事業者の回線を2つ使えますか?
使えます。ただしiPhoneのSIMロックが解除されている必要があります。SIMロックがかかっている場合は、同じ通信事業者のプランを2つ組み合わせる形になります。
物理SIMが使えないiPhoneでも2回線にできますか?
できます。日本で販売されているiPhone 17は物理SIMに対応していませんが、eSIMを2つ有効にすれば2回線で使えます。eSIM同士の2回線はiPhone 13以降の機種が対応しています。
2回線にするとデータ通信は両方の回線で使われますか?
使われません。モバイルデータ通信は、設定で選んだ1回線だけです。「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオンにすると、音声のみの回線で通話している間だけ、その回線がデータ通信も使います。データローミング中はこの切り替えは働きません。
iPhoneの2回線は「同時に使えるのは待ち受けだけ」と考えて設定すべきだ
iPhoneの2回線は便利ですが、2本の回線がいつも同時に動いているわけではありません。データ通信は1回線、通話中はもう一方の着信を取りこぼしうる、発信する番号は相手ごとに前回の番号が使われる。この3点を押さえて、既定の回線、データ回線、連絡先ごとの番号を最初に決めておけば、仕事用と個人用の使い分けも、海外での日本の番号と旅行用eSIMの併用も迷わずに済みます。
海外で2回線目に使う旅行用eSIMは、Coral eSIMのプラン一覧から行き先に合わせて選べます。
