海外赴任の携帯は、「日本の番号をどう残すか」と「現地の回線をいつ持てるか」を分けて、順番に決めるのが失敗しないやり方です。日本の番号は、契約を続ける、番号を保管する、解約するの3つから選べます。ただしドコモとauの番号保管は、保管中は電話もSMSも使えなくなると公式に案内されています。銀行やネットサービスの認証コードを日本の番号で受け取っているなら、保管の前に受け取り先を移しておかなければなりません。また現地の携帯契約は、就労パスなど現地で発行される身分証を前提にしていることが多く、着任した日に作れるとは限りません。この記事では、通信事業者と公的機関の公式情報をもとに、出発前から着任後、帰国までの順番を整理します。
着任してから現地の回線を契約するまでの間は、日本で設定しておける旅行用eSIMでデータ通信をつなげます。行き先の国のプランはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。
海外赴任の携帯は「日本の番号」と「現地回線」の2つで考える
赴任先で使う携帯には、役割の違う2つの回線が関わります。
- 日本の番号:日本の銀行、行政や各種サービスのログイン、日本の家族や取引先からの連絡を受ける窓口
- 現地の回線:赴任先での通話、データ通信、現地の銀行や勤務先への連絡先として届け出る番号
ドコモは海外赴任や留学の際の選択肢として、日本の契約を続けて海外で使う方法、現地のSIMカードを買う方法、電話番号保管、解約の4つを挙げています。そのうえで、短い滞在なら日本の契約のまま、3か月以上の長い滞在なら現地のSIMカードという使い分けを示しています。赴任はこの「長い滞在」にあたるので、現地の回線は持つ前提で、日本の番号をどう扱うかを決めることになります。
| 日本の番号の扱い | SMS(認証コード) | 向いている人 |
|---|---|---|
| 契約を続ける | 海外でも受信できる(ローミング) | 日本の銀行やサービスをSMS認証で使い続ける人 |
| 番号を保管する | 保管中は受信できない(ドコモ・auは公式に明記) | 番号は残したいが、赴任中は日本の回線を使わない人 |
| 解約する | 受信できない。帰国後に同じ番号は使えない | 日本の番号に紐づくものが無い人 |
ドコモの案内では、海外でのSMSは自動的に受信され、データ通信のエリア外でも通話ができる国・地域なら使えるとされています。つまり、日本の番号でSMSを受け取り続けたいなら、「保管」ではなく「契約を続ける」が前提です。
海外赴任前に決める:日本の携帯番号を保管するときの条件
大手3社は、海外赴任や留学で日本の携帯をしばらく使わない人向けに、番号を預かるサービスを用意しています。条件は各社で違います。
| 事業者 | サービス名 | 保管できる期間 | 手続きの主な条件 |
|---|---|---|---|
| ドコモ | 電話番号保管 | 申込翌月1日から最長6年間 | オンライン・電話・店頭で申込み。ahamoなどは対象外。予約申込みはできない |
| au | 一時休止 | 最大5年間 | My au・チャット・店頭で申込み。再開は店頭のみ。UQ mobileは対象外 |
| ソフトバンク | 電話番号・メールアドレスお預かりサービス | 最大5年間 | 申込みはソフトバンクショップ。本人確認書類が必要 |
楽天モバイルについては、公式サイトで同様の番号保管サービスの案内を確認できませんでした。
保管は「出発直前」に申し込む
ドコモは、電話番号保管は申し込んだ時点で通話も通信も使えなくなり、予約申込みはできないと案内しています。出国に合わせたい場合は、出国前などにオンライン手続きで申し込むよう勧めています。早めに申し込むと、出発までの数日間、日本の番号が使えなくなります。ソフトバンクは店頭での手続きになるため、出発前に来店の予定を組んでおく必要があります。
期限が来ると自動で解約になる
ドコモは、保管期間が満了すると自動解約になり、その番号は再び使えないと明記しています。続けたい場合は、満了前にいったん保管を解除して申し込み直す手続きが必要です。ソフトバンクも期間を過ぎると契約が解除され、期間満了の事前通知はないとしています。赴任の予定が延びることもあるので、保管期限はカレンダーに入れておきましょう。
番号保管の前に、海外赴任中のSMS認証の受け取り先を移す
番号保管のいちばんの落とし穴は、認証コードです。auは一時休止中について、電話、ネット、メール、SMSなどが使えないと案内しています。ドコモも、dアカウントのセキュリティコードの送り先を電話番号にしている場合、保管中は受け取れないと明記しており、My docomoにログインするには保管前にパスキー認証の設定が必要だとしています。
同じことは、日本の番号にSMSで確認コードを送る銀行やネットサービス全般に起こりえます。保管を申し込む前に、次の順番で確認しておくと安心です。
- 日本の番号でSMS認証を使っているサービスを書き出す(銀行、証券、クレジットカード、行政、通販、SNSなど)
- 各サービスで、認証方法を認証アプリやパスキー、メールなど、SMS以外に変えられるか確認する
- 変えられないサービスがある場合は、保管ではなく契約を続ける選択肢を考える
- 携帯会社のアカウント自体にログインできる状態かを確かめる(ドコモならパスキーの設定)
旅行中にSMS認証が届かないときの原因と対処は海外でSMS認証コードが届かないときの対処法にまとめています。
着任直後の海外赴任の携帯は、旅行用eSIMでつなぐ
赴任先で現地の携帯を契約するには、現地で発行される身分証が求められることがあります。例えばシンガポールの大手Singtelのオンライン向けプラン「hi!」は、申込みの条件として、Singpass(シンガポールの行政サービス用デジタルID)のアカウント、または就労パスや家族帯同のパスなどの身分証を挙げています。就労パスの手続きが済むまでは、こうした契約を始められません。条件は国や事業者で違うので、赴任先の事業者の公式サイトで確認してください。
その間のデータ通信には、日本で設定しておける旅行用eSIMが使えます。Appleは海外旅行の際に、自宅の回線と旅行先の回線を両方有効にしておき、データ通信だけを旅行先の回線に割り当てる使い方を案内しています。こうすれば、日本の番号は着信とSMSの受け取りに残し、地図や配車アプリ、住まい探しの連絡はeSIMのデータで行えます。設定の手順は海外旅行用eSIMの設定方法を参考にしてください。
あわせて、3か月以上海外に住む人は、旅券法により在留届を出すことが義務付けられています。外務省によると、在留届は日本を出発する3か月前から提出できます。緊急時の連絡メールも届くので、出発前に済ませておきましょう。
赴任先の国のeSIMはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。
現地の回線と日本の番号を1台で使う:海外赴任の携帯のデュアルSIM
現地の回線を契約したあとも、日本の番号を続けるなら、1台のスマートフォンに2つの回線を入れておくと持ち歩く端末が増えません。Appleの案内では、iPhone XS、XR以降は物理SIMとeSIMの組み合わせで、iPhone 13以降は2つのeSIMでも2回線を使えます。両方の番号で通話とSMSの送受信ができますが、データ通信に使えるのは一度に1回線です。
赴任者が気をつけたい条件もAppleは挙げています。
- 別々の事業者の回線を使うには、iPhoneのSIMロックが解除されている必要がある(SIMロック解除の確認方法)
- 会社契約の回線を使っている場合は、2回線での利用に対応しているかを会社の管理者に確認する
- 中国本土では、eSIMに対応するiPhoneは一部の機種に限られる
赴任の段階ごとに、回線の役割は次のように変わります。
| 段階 | 日本の番号 | データ通信 |
|---|---|---|
| 出発前 | 認証の受け取り先を整理。保管するなら出国前に申込み | 旅行用eSIMを日本で設定しておく |
| 着任直後 | 契約を続けるならSMSの受け取りに使う | 旅行用eSIM |
| 現地契約後 | 契約を続けるなら副回線として残す | 現地の回線に切り替える |
| 帰国前 | 保管の解除手続きの方法を確認 | 帰国日まで現地の回線 |
iPhoneとAndroidでの2回線の設定手順はデュアルSIMで海外へ行くときの設定ガイドで解説しています。
一時帰国と本帰国で困らないための海外赴任の携帯の準備
番号を保管した場合は、帰国したときの再開手続きまで見越しておく必要があります。
- ドコモ:保管を解除したあとは、今使っているドコモのUIMカードをそのまま使うため、大切に保管するよう案内している
- au:一時休止の再開は店頭のみで、申込時の控え、本人確認書類、携帯電話本体が必要
- ソフトバンク:保管した月と同じ請求月の中では解除できず、解除した月に再び保管することもできない
ソフトバンクの条件は、一時帰国のあいだだけ番号を使う使い方には向きません。一時帰国中のデータ通信は、日本向けの日本で使えるeSIMで補う方法もあります。
海外赴任の携帯についてよくある質問
海外赴任中も日本の電話番号でSMSを受け取れますか?
日本の契約を続けていれば受け取れます。ドコモは、海外でのSMSは自動的に受信され、データ通信のエリア外でも通話ができる国・地域なら使えると案内しています。一方、ドコモの電話番号保管やauの一時休止を使うと、その間は電話もSMSも使えません。
番号保管は出発の何日前に申し込めばいいですか?
ドコモは予約申込みができず、申し込んだ時点で通話も通信も止まるため、出国前などにオンラインで申し込むよう案内しています。ソフトバンクは店頭での手続きなので、来店日を先に決めておきます。いずれも、認証コードの受け取り先を移し終えてから申し込むのが順番です。
番号保管の期限が切れるとどうなりますか?
ドコモは保管期間が満了すると自動解約になり、その番号は再び使えないとしています。ソフトバンクも期間が過ぎると契約が解除され、事前の通知はありません。
赴任先に着いてすぐ現地の携帯を契約できますか?
国や事業者によります。例えばシンガポールのSingtelのhi!は、Singpassのアカウントか、就労パスや家族帯同のパスなどの身分証を条件にしています。パスの手続きが終わるまでは、日本で設定しておける旅行用eSIMでデータ通信を確保すると安心です。
日本の番号と現地の番号を1台のiPhoneで使えますか?
使えます。Appleによると、iPhone XS、XR以降は物理SIMとeSIM、iPhone 13以降は2つのeSIMで2回線を使えます。ただし別々の事業者の回線を使うにはSIMロックの解除が必要で、データ通信は一度に1回線だけです。会社契約の回線は、管理者に対応を確認してください。
海外赴任の携帯は、SMSの受け取り先を決めてから番号の扱いを選ぶべき
海外赴任の携帯で迷いやすいのは、日本の番号を「残すかどうか」だけで考えてしまうことです。実際には、番号を保管すると電話もSMSも止まり、日本の銀行やサービスの認証コードが届かなくなります。先に認証の受け取り先を整理し、SMSが必要なら契約を続け、不要なら出国直前に保管する。現地の回線は在留のための身分証がそろってから契約し、それまでは旅行用eSIMでつなぐ。この順番なら、着任直後から帰国まで連絡手段が途切れません。
赴任先の国で使えるプランはCoral eSIMのプラン一覧から確認できます。
