結論: オーストラリアのeSIMで最初に確認すべきなのは料金ではなく、手持ちの端末が現地のネットワーク条件を満たしているかです。2024年に国内すべての3Gが停波した結果、オーストラリアではVoLTEに対応していない端末がネットワークから遮断され、Band 28(700MHz)に対応していない端末は都市を離れると電波をつかめなくなりました。日本で問題なく使えている端末でも例外ではありません。逆に端末条件さえクリアしていれば、eSIMは日本を出る前に開通まで終わらせられるので、現地での手続きは何も残りません。
この記事では、オーストラリア向けeSIMを選ぶ前に確認すべき端末条件と、出発前から到着後までの手順を順番に整理します。プランはオーストラリア用eSIMのページで確認できます。
オーストラリアのeSIMは料金より先に端末条件で決まる
オーストラリアは、通信環境という意味では旅行先としてやや特殊な国です。国土が広く人口が沿岸の都市に集中しているため、通信会社は「遠くまで届く低い周波数」に設備を寄せています。加えて3G停波の完了が他国より徹底しており、条件を満たさない端末は物理的につながらないか、規制上ネットワークから遮断されます。
そのため、どのeSIMを買うかを比べる前に、端末側で次の3点を確認する必要があります。
- eSIMに対応していること
- VoLTE(4G回線での音声通話)に対応していること
- Band 28(700MHz)に対応していること
1つ目はどの渡航先でも共通ですが、2つ目と3つ目はオーストラリア特有と考えてかまいません。順に見ていきます。
3G停波後のオーストラリアで日本の端末がつながらない理由
VoLTE非対応の端末はネットワークから遮断される
オーストラリアでは2024年10月28日から順次3Gネットワークが停止し、11月上旬までに全土で終了しました。問題はここからで、オーストラリアの通信規制当局ACMAは、緊急通報番号Triple Zero(000)に発信できない端末を通信会社が特定し、利用者に通知したうえでネットワークから遮断することを義務づけています。
対象になるのは3G専用端末だけではありません。4G端末であっても、音声通話や緊急通報の発信に3Gを使う仕組み(回線交換フォールバック)に依存しているもの、つまりVoLTEに対応していない端末も遮断の対象です。データ通信だけ使うつもりでも、規制はネットワーク接続そのものに及びます。
これは海外から来た端末にも当てはまります。実際、ソフトバンクは2024年12月に、オーストラリアでの国際ローミングが一部機種で利用できなくなったことを公式に告知しています。原因として挙げられているのは、VoLTEローミング非対応と、次に説明するBand 28非対応です。
Band 28(700MHz)非対応だと都市を離れた瞬間に圏外になる
3G停波にあわせて、オーストラリアの通信会社はBand 28(700MHz)を中心とするLTEネットワークへ移行しました。Telstraは、自社の4Gの主力周波数がBand 28であり、海外や中古で入手した端末はこの周波数に対応していないため4Gネットワークにつながらないことがある、と明記しています。
700MHzという低い周波数は電波が遠くまで届くため、人口密度の低い地域をカバーするのに向いています。裏を返すと、Band 28に非対応の端末は、シドニーやメルボルンの中心部では他の周波数でつながっても、グレートオーシャンロードやタスマニア、ウルル方面へ出た途端に圏外になります。旅行の目的地が都市の外にあるほど、この差は致命的になります。
日本国内向けに設計された端末の一部はBand 28を積んでいません。京セラ、シャープ、ソニーなどの機種やiPadの一部が対象になった例が公式に案内されています。手持ちの端末が該当するかは、メーカーの仕様表で対応周波数帯を確認するのが確実です。
出発前にやるeSIMと端末のチェック
オーストラリア行きが決まったら、次の順番で確認してください。すべて日本にいるうちに終わります。
- eSIM対応の確認。設定画面からeSIMを追加できるかを見ます。判断がつかない場合はeSIM対応端末の調べ方を参照してください。
- SIMロックの確認。ロックがかかっていると他社のeSIMを入れられません。SIMロック解除とeSIMにまとめています。
- VoLTEの確認。設定でVoLTEまたは4G音声通話がオンになっているかを見ます。項目自体が存在しない端末は非対応の可能性があります。
- Band 28の確認。メーカーの仕様表で対応周波数に「LTE Band 28」または「700MHz」があるかを見ます。
4項目のうち1つでも欠けている場合、オーストラリアでは通信できない場面が出てきます。その場合はeSIMを買う前に、対応端末を用意するかレンタルWi-Fiに切り替えるかの判断が先です。判断材料はeSIMとポケットWiFiの比較にあります。
オーストラリアのeSIMを開通させる手順
端末条件をクリアしていれば、あとは難しくありません。
- 渡航日程に合うオーストラリア用eSIMを購入する。
- 自宅のWi-Fiでインストールする。QRコードの読み取りかアプリからの追加で完了します。
- 回線のオン・オフの初期設定をしておく。データ通信の既定回線をオーストラリア用に切り替える設定です。
- 飛行機を降りたら機内モードを解除し、データローミングをオンにする。
インストールと開通は別物で、多くのeSIMはインストールしても現地の電波をつかんだ時点から有効になります。インストールは必ず日本の安定した回線で済ませてください。空港のフリーWi-Fiで作業すると、途中で切れて再発行が必要になることがあります。手順の詳細は海外旅行用eSIMの設定方法で解説しています。
シドニーやメルボルンに着いてつながらない場合は、データローミングと既定回線の設定、そしてAPNを順に見直します。到着後にeSIMがつながらないときとAPN設定を手元に置いておくと早く復旧できます。日程が決まっているならオーストラリア用eSIMを出発前に用意しておくのが確実です。
現地プリペイドSIMとeSIMのどちらを選ぶか
オーストラリアで現地のプリペイドSIMを契約する場合、本人確認が必要です。ACMAの規定により、通信会社は氏名・生年月日・住所を確認したうえでないとプリペイド回線を開通できません。旅行者にとっては、到着直後に窓口へ並び、滞在先の住所を申告する手間が発生します。
短期の旅行であれば、この手間を丸ごと省けることがeSIMの実利です。逆にワーキングホリデーや長期滞在で現地の電話番号が要る場合は、現地契約に分があります。長期側の考え方はワーキングホリデーの通信手段にまとめています。
キャリアのローミングをそのまま使う選択肢もありますが、前述のとおりVoLTEローミング非対応機種は接続できません。費用面も含めた比較は国際ローミングとeSIMの違いを参照してください。
都市部と地方でオーストラリアの通信事情はこれだけ違う
シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースといった都市部では、3社のいずれの回線でも不自由はほとんどありません。差が出るのは都市を離れてからです。
- グレートオーシャンロードやブルーマウンテンズのような自然観光地は、区間によって電波が途切れます。
- ウルル(エアーズロック)周辺やアウトバックは、そもそも基地局の数が限られます。
- タスマニアは島内の移動距離が長く、山間部で圏外が続く区間があります。
こうした区間ではBand 28の有無がそのまま「つながるかどうか」になります。地方へ足を延ばす予定があるなら、出発前にテザリングの可否も確認し、オフライン地図を落としておくと安心です。
オーストラリア旅行のeSIMは何GB必要か
容量は日数ではなく使い方で決まります。目安は次のとおりです。
- 地図と検索、メッセージ中心: 1日あたり0.3〜0.5GB程度。1週間の旅行なら3GB前後で足ります。
- 写真や動画をその場で共有する: 1日あたり1GB前後。1週間なら7〜10GBを見ておくと安全です。
- 動画視聴やビデオ通話を毎日する: 1日あたり2GB以上。無制限に近いプランのほうが結果的に楽です。
オーストラリアは移動時間が長く、車内で地図を出しっぱなしにする時間が他の国より長くなりがちです。同じ日数でもアジア圏の旅行より消費量は増えると考えておくと外しません。
FAQ
iPhoneならどの機種でもオーストラリアでeSIMを使えますか
eSIM自体はiPhone XS以降であれば使えますが、オーストラリアではVoLTEとBand 28の対応も必要です。日本国内で販売されたiPhoneは基本的に両方に対応しています。一方でiPadは一部機種がBand 28に非対応で、公式にローミング利用不可として案内された例があります。
オーストラリアのeSIMはいつ購入して、いつ開通しますか
購入とインストールは出発の数日前までに、自宅のWi-Fiで済ませてください。開通は多くの場合、現地で電波をつかんだ時点から始まります。空港に着いてから作業を始めると、混雑したWi-Fiでインストールが中断するリスクがあります。
手持ちの端末がBand 28に対応しているか確認する方法は
メーカーの製品仕様ページで対応周波数帯の一覧を見て、「LTE Band 28」または「700MHz」の記載があるかを確認します。記載が見つからない場合は非対応の可能性が高く、都市部を離れる旅程では別の通信手段を検討してください。
eSIMでオーストラリアの電話番号は使えますか
データ通信専用のeSIMには電話番号が付きません。通話が必要な場面ではアプリの通話機能で代替できます。日本の番号を維持したまま使う方法はeSIMと電話番号で説明しています。
空港で現地SIMを買うほうが早いのではないですか
シドニーやメルボルンの空港には販売カウンターがありますが、本人確認と開通待ちの時間がかかります。到着便が集中する時間帯は列になることもあります。比較は空港SIMとeSIMにまとめています。
オーストラリアのeSIMは端末条件を先に確認すれば、あとは迷わない
オーストラリアは、料金プランの違いよりも端末の対応状況のほうが通信品質を大きく左右する国です。VoLTEとBand 28という2つの条件を出発前に確認しておけば、あとはどのプランを選んでも都市部で困ることはありません。逆にこの確認を飛ばすと、どれだけ大容量のプランを買っても地方で圏外になります。
端末の条件を確かめたら、日程に合うオーストラリア用eSIMを出発前に用意してください。
