結論: Spotifyの通信量は音質設定で決まり、最低音質と最高音質では1時間あたり約13倍の差が出ます。ただし海外で音楽が止まる原因の多くは通信量ではありません。ダウンロードした曲を保持するには30日に1回オンラインにする必要があり、無料プランではそもそも曲をダウンロードできません。出発前に確認すべきなのは容量よりこちらです。
Spotifyの通信量は音質設定で13倍変わる
Spotifyは公式サポートで各音質のビットレートを公開しています。ストリーミング時の設定は次のとおりです。
- 低音質:約24kbit/s(AAC)
- 標準:約96kbit/s(AAC)
- 高音質:約160kbit/s(AAC)
- 最高音質:約320kbit/s(AAC)
- ロスレス:最大24bit/44.1kHzのFLAC
ビットレートから1時間あたりの通信量を計算すると、次の目安になります。数字は公式が発表したものではなく、公開されているビットレートからの単純計算です。
- 低音質:約11MB/時間
- 標準:約43MB/時間
- 高音質:約72MB/時間
- 最高音質:約144MB/時間
- ロスレス:数百MB/時間
1日2時間×7日間の旅行に置き換えると、標準で約600MB、最高音質で約2GBです。音質を最高から標準に落とすだけで消費が3分の1になるので、旅行中だけ設定を下げるのが最も効果の大きい節約になります。無料プランはモバイルでAAC 128kbit/s相当で、この設定変更の対象外です。
なおSpotifyアプリには通信量を抑える「データセーバー」があり、公式の説明では画像の表示を減らし音質を下げることでアプリの通信量を減らします。細かく設定したくない場合はこれを有効にするだけでも構いません。
海外でeSIMを使うなら、通信量より先にオフライン再生を成立させる
旅行中に音楽を聴く方法として最も確実なのは、日本のWi-Fiでダウンロードしておくことです。ただしダウンロード再生には公式が定めた条件があります。
ダウンロードは30日に1回オンラインにしないと消える
Spotifyのサポートは「ダウンロードを保持するには少なくとも30日に1回オンラインになる必要がある」と明記しています。長期滞在で一度もオンラインにしないままだと、ダウンロード済みの曲が再生できなくなります。音楽のためだけでも、渡航先で最低限の通信は必要ということです。
この30日ルールはYouTube Musicも同様で、公式ヘルプに「一時保存したコンテンツを維持するには、少なくとも30日に1回はインターネットに再接続する必要があります」と書かれています。音楽アプリ全般に共通する仕組みだと考えてください。
無料プランでダウンロードできるのはポッドキャストだけ
Spotifyのサポートには「Premiumではアルバム、プレイリスト、ポッドキャストをダウンロードできる。無料版ではポッドキャストのみダウンロードできる」とあります。無料プランのまま「曲を落としておいた」つもりで出発すると、機内や電波の弱い場所で何も再生できません。
ダウンロードの上限は5台・各10,000曲
同じくサポートに「最大5台の異なるデバイスそれぞれに10,000曲までダウンロードできる」と記載があります。スマートフォンとタブレットの両方を持っていく場合、6台目のデバイスでダウンロードすると最も使っていない端末の曲が自動的に削除されるため、旅行に持っていく端末で先に落としておくのが安全です。
アカウントの国設定は変えない。eSIMで通信しても居住国は変わらない
Spotifyの利用規約には、アカウントは居住国に属している必要があり、居住国で提供されているバージョンにのみアクセスすべきである、という趣旨の記載があります。一方でサポートの国・地域設定の説明は「引っ越した場合は国や地域を更新する必要がある」という移住を前提とした書き方で、旅行中の一時利用について日数を区切った規定は現行の公式文書では見当たりません。
実務的な結論はシンプルです。旅行で数日から数週間滞在するだけなら、国設定は触らないでください。設定を変えると料金や利用できる曲目が変わり、Premiumでは新しい国で発行された支払い方法への変更が必要になる場合があるとサポートに書かれています。旅行のために変更する意味はありません。
Apple Musicも同じ考え方です。Appleのサポートによれば、アカウントの国・地域を変更するにはストアクレジットの残高を使い切る必要があり、登録中のサブスクリプションによっては変更自体ができません。旅行のたびに切り替えるものではないということです。
音楽アプリごとに違う出発前の準備
主要な3つのアプリで、事前にやっておくことは少しずつ違います。
- Spotify:Premiumであることを確認し、プレイリストをダウンロード。音質設定とダウンロード音質は別項目なので両方を確認する
- YouTube Music:Premiumで一時保存。ポッドキャストはメンバーシップの有無にかかわらず一時保存できる
- Apple Music:曲をダウンロードする前に「ライブラリを同期」をオンにする必要がある。オフのままだとダウンロードボタンが機能しない
いずれも作業は自宅のWi-Fiで済ませます。数百曲を落とすと1GBを超えることもあるため、モバイル回線でやると出発前に容量を使い切ります。
それでも通信が要る場面と、eSIMで確保する容量の考え方
ダウンロードを済ませても、次の場面では通信が発生します。
- 30日ルールのための接続。前述のとおりダウンロードの保持そのものに通信が要ります
- プレイリストの追加や検索。現地で新しい曲を探せばストリーミングになります
- レコメンドやホーム画面の読み込み。アプリを開くだけでも画像とメタデータを取得します
- ポッドキャストの新着。滞在中に配信された回はダウンロードされていません
逆に言えば、ダウンロードを済ませていれば音楽のための通信は月に数百MB程度に収まります。音楽が容量を圧迫するのは「落とさずにストリーミングした場合」だけです。容量の選び方はeSIMの無制限プランは本当に無制限?で整理しています。対応国とプランはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。
移動中の消費を抑えるという意味では、地図も同じ発想です。Googleマップをオフラインで使う方法とあわせて準備しておくと、街歩き中の通信量が目に見えて減ります。
機内と地下鉄で音が止まるときに確認すること
ダウンロードしたはずなのに再生できない場合、原因はほぼ次のどれかです。
- オフラインモードになっていない。電波が弱い場所ではアプリがストリーミングを試み続けて再生が詰まります。手動でオフラインモードに切り替えると安定します
- 30日以上オンラインにしていない。ダウンロードの有効期限が切れています
- ダウンロード先の端末が違う。5台の上限を超えて別端末で落とし直した結果、古い端末から消えていることがあります
- ストレージ不足。空き容量が不足すると新しいダウンロードが止まります
- 無料プランのまま曲を落とそうとしている。ポッドキャストしかダウンロードできません
出発の前日に機内モードにしてアプリを開き、実際に1曲再生してみるのが最も確実な確認方法です。渡航先での端末設定全般は海外に行く前のスマホ設定にまとめています。
FAQ
Spotifyの通信量は1時間でどれくらいですか?
公式が公開しているビットレートから計算すると、標準(約96kbit/s)で約43MB、高音質(約160kbit/s)で約72MB、最高音質(約320kbit/s)で約144MBです。ロスレスは数百MBに達します。旅行中は標準に下げると消費が3分の1になります。
ダウンロードした曲は海外でずっと聴けますか?
いいえ。Spotifyの公式サポートは、ダウンロードを保持するには少なくとも30日に1回オンラインになる必要があると明記しています。長期滞在で一度もオンラインにしないと再生できなくなります。YouTube Musicにも同じ30日の要件があります。
無料プランでも曲をダウンロードできますか?
できません。Spotifyの公式サポートによれば、無料版でダウンロードできるのはポッドキャストのみです。アルバムやプレイリストのダウンロードはPremiumの機能です。出発前にプランを確認してください。
海外でSpotifyのアカウント設定を変える必要はありますか?
旅行で滞在するだけなら変更しないでください。国・地域を変更すると料金や曲目が変わり、Premiumでは新しい国で発行された支払い方法が必要になる場合があります。移住する場合に更新するための設定です。
音楽をオフラインにすれば海外でeSIMは不要ですか?
音楽だけならしばらく持ちますが、ダウンロードの保持自体に30日ごとの通信が必要です。加えて地図の経路検索、配車アプリ、メッセージの受信はいずれも通信を使います。音楽をオフラインにするのは容量を節約する手段であって、通信を不要にする手段ではありません。
音楽の通信量は設定で解決するが、止まる原因は設定では解決しない
Spotifyの通信量は音質を下げれば確実に減り、ダウンロードしてしまえばほぼゼロになります。そこは設定の問題です。しかし海外で実際に音楽が止まるのは、30日ルール、無料プランの制限、端末台数の上限といった仕様側の条件によるものです。これらは現地で気づいても取り返せません。出発前に機内モードで1曲再生して確認し、そのうえで最低限の通信を確保しておく。この2つが揃っていれば、飛行機でも地下鉄でも音は途切れません。
