クルーズ旅行の持ち物は、ふつうの海外旅行とほとんど同じです。違うのは3点だけで、延長コードやアイロンなど「船の規則で持ち込めない物」があり、その基準が船会社ごとに違うこと、パスポートの残存有効期間を「クルーズが終わる日」から数えること、そして海の上ではスマートフォンが船舶ローミングにつながり、想定外の請求になりうることです。この記事では、船会社4社の公式資料と通信事業者の注意喚起をもとに、クルーズで困らない準備を整理します。
寄港地では陸上の携帯電波が使えるので、出発前に旅行用eSIMを入れておくと、港に着いてすぐ地図や連絡に使えます。行き先の国に合うプランはCoral eSIMのプラン一覧から選べます。
クルーズの持ち物は「船の規則で決まる物」から先に確認する
服や洗面用具は、忘れても寄港地や船内のショップで買い足せることがあります。一方で、次の3つは船に乗ってからでは取り返しがつきません。
- 持ち込み禁止品:船内で危険と判断された物は預かりになり、クルーズの最終日まで返ってきません(プリンセス・クルーズの案内)
- 乗船に必要な書類:日本発着でも、書類が足りなければ乗船できず、代金も戻りません
- スマートフォンの設定:海の上で意図しない回線につながると、定額プランの対象外の料金がかかります
クルーズに持ち込めない物は、船会社によって基準が違う
延長コードと電源タップ:全面禁止の船会社と、サージ保護付きだけ禁止の船会社がある
クルーズの持ち物で最も判断が分かれるのが延長コードです。ロイヤル・カリビアンは、延長コード、電源タップ、複数口のコンセントをまとめて持ち込み禁止にしています。一方、プリンセス・クルーズとホーランド・アメリカ・ラインが禁止しているのは「サージ保護(雷ガード)付き」の電源タップや延長コードです。プリンセスは、サージ保護のない電源タップや延長コードは注意して使う条件で持ち込めるとし、船内の電気部門の検査で危険と判断された物は最終日まで預かると案内しています。
複数の機器を充電したいときは、延長コードを持っていく前に、自分の船会社の禁止品リストを確認してください。CPAPや酸素濃縮器などの医療機器を持ち込む場合、プリンセス・クルーズでは乗船の100日前までに申請が必要なケースとされています。
アイロンやヘアアイロンなど熱を出す家電
衣類用アイロンは、プリンセス・クルーズ、ホーランド・アメリカ・ライン、ロイヤル・カリビアン、飛鳥クルーズのいずれも持ち込めません。プリンセスと飛鳥IIでは、船内のランドリーにアイロンが備え付けられています。
ヘアアイロンは船会社で扱いが分かれます。ロイヤル・カリビアンは個人用のヘアアイロンを持ち込めるとしていますが、飛鳥IIは衣類用アイロン、ヘアアイロン、備え付け以外のヘアドライヤー、電気ヒーター、ホットプレートなど「高温を発する機器」を持ち込めません。ろうそくとお香は、プリンセス・クルーズ、ホーランド・アメリカ・ライン、飛鳥IIで禁止されています。
ドローン、刃物、お酒
- ドローン:プリンセス・クルーズとホーランド・アメリカ・ラインは持ち込み禁止です。
- 刃物:飛鳥IIは刃渡り6cmを超える刃物と刃渡り8cmを超えるはさみを、ロイヤル・カリビアンは4インチ(約10cm)を超えるナイフとはさみを持ち込めません。
- お酒:ダイヤモンド・プリンセスの日本発着クルーズでは、20歳以上の人が、乗船地でのみワインかシャンパンを1航海につき1本(750ml以下)持ち込めます。途中の寄港地で買ったお酒は乗船口で預かられ、クルーズの終了時に返されます。
クルーズの客室のコンセントと、充電まわりの持ち物
ダイヤモンド・プリンセスの日本発着クルーズのアンサーブックによると、客室の電源は110ボルト・60ヘルツで、コンセントは日本と同じ2枚刃か、アース付きの北米タイプです。日本で使っている機器はそのまま使えます。電圧の切り替えに対応していない機器には変圧器が必要ですが、船では用意していないので持参します。ベッド脇のランプにUSBポートがある客室もあります(一部の客室は非対応)。プリンセスの英語版FAQによると、カードキーを抜くと客室の電源が切れる場合があります。
モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を使う製品について、飛鳥クルーズは「破損や膨張のない製品は持ち込めるが、預け荷物にはできない」「充電は目の届く所で行う」と案内しています。飛行機で乗船港まで向かうフライ&クルーズの場合は、航空会社のモバイルバッテリーの規則も重なります。機内のルールはヨーロッパ旅行の持ち物リストで整理しています。
クルーズの乗船書類:パスポートは「クルーズ終了時点」で残存期間を数える
プリンセス・クルーズは、クルーズ終了時点でパスポートの残存有効期間が6か月以上あることを求めています。出発日ではなく、下船する日から数える点に注意してください。あわせて、パスポートの名義と予約の名前が一致していること、出入国のスタンプやビザに使う空白のページがあることも確認項目になっています。
ダイヤモンド・プリンセスの日本発着クルーズは海外旅行の扱いなので、チェックインの際にパスポートの原本が無いと乗船できません。コピーだけでは乗れません。さらに、顔写真のページのコピーを1人2枚用意するよう案内されており、日本国内の寄港地でも、船から出かけるときにコピーの提示を求められる場合があります。
ビザの要否は寄港地と国籍で変わり、確認は乗客の責任です。書類の不備で乗船できなくても払い戻しはありません。外務省も、必要な残存期間は国や地域によって異なるとして、渡航先の在日大使館・総領事館で確認するよう呼びかけています。残存期間が足りない場合は、有効期間が1年未満になっていれば切替申請ができ、オンラインでも申請できます。
国内クルーズでも、飛鳥IIは乗船当日の手荷物に乗船券、本人確認書類、感染症に関する質問票を挙げています。
クルーズの服と日用品は「船に無い物」を持っていく
ドレスコード
プリンセス・クルーズの夕食以降のドレスコードは、スマートカジュアルとフォーマルの2種類です。フォーマルの夜は、6泊以下のクルーズで1回、7〜13泊で2回、14泊以上で3回が予定されています。
船に用意されていない物
- パジャマ:ダイヤモンド・プリンセスの客室には用意がありません。
- 歯ブラシ、歯磨き粉、かみそり、くし:ダイヤモンド・プリンセスでは用意していません。
- 雨具:プリンセス、飛鳥IIとも傘やレインコートの貸し出しはありません。
- 羽織るもの:ダイヤモンド・プリンセスの船内は20度前後に設定されています。
薬とお金
プリンセス・クルーズは、常用薬について乗船期間とは別に最低14日分の予備を持ち、持病がある場合は英文の処方箋や診断書を用意するよう勧めています。酔い止めは船内でも売っていますが、外国製です。
船内の支払いは、ダイヤモンド・プリンセスの場合は米ドル建てで、乗船前にアプリでクレジットカードを登録しておき、下船時にまとめて精算します。プリペイドカードとトラベラーズチェックは使えません。
クルーズ中のスマホは、乗船前に「海の上の設定」を済ませておく
プリンセス・クルーズのアンサーブックは、航行中や寄港地の停泊中に、国内の「船舶ローミングサービス」や沿岸国の海外ローミングの電波につながると、日本の料金プランとはまったく異なる料金がかかり、高額な請求になる場合があると注意しています。船の上でつながる電波は、国内や海外の通信し放題プランの対象にも含まれません。そのため、船内や船の近くではローミングをオフにするか、機内モードをオンにするよう案内しています。
NTTドコモも、沿岸地域や船の上で通信事業者の設定を「自動」にしていると、国際ローミングや船舶ローミングの料金がかかり、高額になるおそれがあると注意しています。船内Wi-Fiは、機内モードをオンにしてからWi-Fiだけをオンにして使います。
寄港地では陸上の電波が使えます。旅行用eSIMは自宅で入れておき、港に着いたら機内モードを解除して、eSIMの回線が現地の通信事業者につながったのを確かめてから使います。航海日と寄港日の使い分けや、航路ごとのeSIMの選び方はクルーズ旅行でのeSIMの使い方で、ローミングやモバイルデータの設定の詳細は海外でスマホを使うための必須設定で解説しています。eSIMの入れ方は海外旅行用eSIMの設定方法を参考にしてください。
クルーズの乗船日に、手荷物に入れておく持ち物
ターミナルで預けたスーツケースは、客室に届くまで時間がかかります。プリンセス・クルーズは、次の物を手荷物で持つよう案内しています。
- パスポートの原本とコピー、ビザなどの書類
- 貴重品、パソコンやカメラなどの精密機器
- 常用薬
- 1泊分の着替えと、乗船後すぐに使う日用品
- 持ち込むワインやシャンパン(預け荷物に入っていると処分される場合がある)
飛鳥クルーズでは、モバイルバッテリーも預け荷物にできません。
クルーズの持ち物についてよくある質問
クルーズに延長コードは持っていけますか?
船会社によって違います。ロイヤル・カリビアンは延長コードと電源タップをすべて禁止しています。プリンセス・クルーズとホーランド・アメリカ・ラインはサージ保護付きの物を禁止しており、プリンセスはサージ保護のない物なら注意して使う条件で持ち込めるとしています。自分の船会社の禁止品リストで確認してください。
ヘアアイロンやドライヤーは持ち込めますか?
これも船会社で違います。ロイヤル・カリビアンは個人用のヘアアイロンを持ち込めますが、飛鳥IIはヘアアイロンと備え付け以外のヘアドライヤーを持ち込めません。衣類用アイロンは確認した4社すべてで持ち込めず、船内のランドリーの物を使います。
パスポートの残存期間はどれくらい必要ですか?
プリンセス・クルーズは、クルーズ終了時点で6か月以上の残存期間を求めています。国や地域によって必要な期間は異なるので、寄港する国の条件もあわせて確認してください。日本発着のクルーズでも、海外に寄港する場合はパスポートの原本が必要です。
船の上でスマホはそのまま使えますか?
そのまま使うのはおすすめしません。航行中は船舶ローミングや沿岸国のローミングにつながることがあり、通信し放題プランの対象外の料金がかかります。船内ではローミングをオフにするか機内モードにし、ネットは船内Wi-Fi、寄港地では旅行用eSIMを使うのが安全です。
モバイルバッテリーは船に持ち込めますか?
飛鳥クルーズは、破損や膨張のない製品であれば持ち込めるとしています。ただし預け荷物にはできず、充電は目の届く所で行います。飛行機を使う場合は航空会社の規則も確認してください。
クルーズの持ち物は、最後に自分の船会社の禁止品リストで確かめる
クルーズの持ち物で差が出るのは、延長コードやヘアアイロンのように船会社によって可否が分かれる物と、クルーズ終了時点で数えるパスポートの残存期間、そして海の上でのスマートフォンの設定です。荷造りの最後に、自分が乗る船会社の禁止品リストと乗船書類の案内を読み、機内モードとローミングの設定を確かめておけば、船に乗ってから困ることはほとんどありません。
寄港地で使う通信は、出発前にCoral eSIMのプラン一覧から寄港する国に合うプランを選んで準備できます。
