結論: 中国の現地SIMは、パスポートの原本を出し、その場で顔を照合する実名登録を経て初めて開通します。そして重要なのは、現地SIMを買っても通信規制はそのまま受けるという点です。日本の通販で「中国SIM」として売られている商品の多くは中国本土のキャリア回線ではなく、香港などの回線を使うローミング型で、性質がまったく違います。この2つを混同すると、現地SIMを買ったのに目的のアプリが開けない、という結果になります。
規制の影響を受けにくい通信手段を先に確保したい場合は、Coral eSIMのプラン一覧から渡航日数に合う容量を選べます。
「中国SIM」には性質の違う2種類がある
同じ検索語で出てくる商品が、実は別物です。ここを分けないと選べません。
中国本土のキャリアの現地SIM
China Mobile(中国移動)、China Unicom(中国聯通)、China Telecom(中国電信)が中国国内で販売する回線です。中国の電話番号が付き、現地のサービスとの相性は最も良い一方で、実名登録が必須で、通信は中国国内のネットワークから出ていくため、国外の一部サービスへの接続制限をそのまま受けます。
日本の通販で売られているローミング型のSIM
「中国で使える」「規制対象外」と書かれて日本で売られている商品の多くは、香港などの事業者の回線を中国国内でローミング利用するものです。通信が契約元の事業者の設備を経由して外部に出るため、中国国内向けの制限が適用されない状態になります。中国の電話番号は付かず、実名登録も不要です。
つまり、現地の番号が欲しいなら現地SIM、規制の影響を避けたいならローミング型という、目的の異なる2つの商品が同じ棚に並んでいる状態です。
中国の現地SIMは実名登録と顔認証が必須
中国では「電話利用者の実名登記規定」により、携帯電話の開通時に本人の真実の身分情報を登記することが義務づけられています。さらに工業情報化部の通知により、2019年12月1日から実店舗での契約時に顔の照合(人像比対)が実施されています。
外国人旅行者の場合、実務は次の流れになります。
- パスポートの原本を提示する。コピーやスマホの画像では手続きが進みません
- その場で顔を撮影し、パスポートの写真と照合する。本人以外は契約できません
- 登記が通ってから開通する。店舗によっては5分から20分程度かかります
この仕組みのため、代理購入や、誰かが登録済みの回線を譲り受ける形は成り立ちません。ネットオークションなどで出回る「登録済み」の中国番号は、後から止められる可能性があります。
中国でSIMカードを買える場所
到着空港のキャリアカウンター
北京、上海、広州などの主要な国際空港には、到着エリアにキャリアのカウンターが置かれていることがあります。パスポートを出せば登録から開通まで一度に済み、英語での案内もあります。ただしすべての空港・すべての時間帯にあるとは限らないため、これだけを当てにするのは危険です。
市内のキャリア直営店
各社の直営店(営業庁)であれば確実に手続きできます。プランの選択肢も広く、条件は空港より良いことが多いです。難点は、到着してから店舗にたどり着くまで通信手段がないことと、窓口での説明が中国語中心になりやすいことです。
正規店以外での購入は避ける
実名登録が法令上の要件になっている以上、登録手続きを省略できる売り方は正規のものではありません。他人名義で登録された回線は停止される可能性があり、トラブルになったときに旅行者側で回復する手段がありません。
キャリアはChina Mobile・China Unicom・China Telecomの3社
- China Mobile(中国移動):加入者数が最大で、カバー範囲が広い。地方まで足を伸ばす旅程では有力です
- China Unicom(中国聯通):都市部中心。国際的な事業展開もあり、外国人向けの案内が比較的分かりやすい傾向があります
- China Telecom(中国電信):都市部で安定。地域によって強さが変わります
北京・上海・広州・深圳といった都市部を回るだけなら、3社の差は体感しにくい範囲です。どこで契約できるかのほうが実際には効いてきます。
現地SIMを選んだときに起きること
現地の番号を持つ利点と、引き換えになる制約があります。
- 規制はそのまま受ける。現地SIMは中国国内のネットワークから外部に出るため、国外の一部サービスは開けません。現地SIMを買えば解決する、という話ではありません
- 現地の番号が手に入る。配車アプリや店舗予約、宅配の受け取りなど、番号がないと進まない場面で役に立ちます
- 決済アプリの本人確認は別の話。番号があっても、決済サービスの登録には別途の本人確認や対応カードが必要です
- 日本の番号あてのSMSが届かなくなる。物理SIMを入れ替えた場合の話です。銀行や予約サイトの認証コードで困ります。対処は海外でSMS認証コードを受け取る方法にまとめています
現地SIM・ローミング型・eSIMのどれを選ぶか
目的から逆算すると迷いません。
現地SIMが向いている場合
- 中国の電話番号が必要(長期滞在、現地サービスの登録、頻繁な配達や予約)
- 時間に余裕があり、直営店で手続きできる
- 国外サービスへの接続が制限されても業務に支障がない
ローミング型やeSIMが向いている場合
- 短期の旅行や出張で、到着直後から地図や連絡手段を使いたい。店舗での手続きが不要です
- パスポートを出して顔を撮影される手続きを避けたい
- 日本の番号を残したまま、データ通信だけ切り替えたい
- 普段使っているサービスをそのまま使いたい
空港での調達との比較は空港でSIMを買うのとeSIMはどっちがいい?で扱っています。中国向けの具体的な選び方は中国で使えるeSIMの選び方に、iPhone側の事情は中国でiPhoneのeSIMは使える?にまとめています。対応国と日数の組み合わせはプラン一覧から選べます。
FAQ
中国の現地SIMを買えばGoogleやLINEは使えますか?
使えません。現地SIMの通信は中国国内のネットワークから外部に出るため、国外の一部サービスへの接続制限をそのまま受けます。制限の影響を受けにくいのは、通信が契約元の事業者を経由するローミングやeSIMのほうです。
日本の通販で売っている「中国SIM」は現地SIMと同じものですか?
多くは別物です。日本で売られている商品の大半は香港などの回線を中国国内でローミング利用するもので、中国の電話番号は付かず実名登録も不要です。中国の番号が必要なら、現地の直営店で契約する必要があります。
空港のカウンターでパスポートだけで買えますか?
パスポートの原本があれば手続きできますが、その場で顔の照合が行われます。また、カウンターがない空港や、時間帯によって閉まっている場合があります。到着後の調達だけを前提にしないほうが安全です。
中国の電話番号は旅行者にも必要ですか?
短期の観光であれば必須ではありません。ただし、配車アプリや一部の予約サービスは番号の登録を求めることがあります。滞在が長く現地サービスを日常的に使うなら、番号を取得する意味があります。
中国本土と香港・マカオは同じSIMで使えますか?
別の地域として扱われるため、本土の現地SIMがそのまま香港・マカオで使えるとは限りません。またがる旅程では、対象地域を1本でカバーできる通信手段を選ぶほうが確実です。
中国では「番号が要るか」で選ぶものが決まる
中国のSIM選びは、安さや容量の比較ではなく、中国の電話番号が必要かどうかで先に分岐します。番号が要るなら、パスポート原本と顔認証を伴う実名登録を受け入れて直営店に行く。番号が要らないなら、現地の窓口に並ぶ理由はありません。
そして忘れてはいけないのが、現地SIMは規制の解決策ではないという点です。普段使っているサービスを旅行中もそのまま使いたいなら、通信が契約元の事業者を経由する手段を選ぶことになります。渡航日数に合う容量はCoral eSIMのプラン一覧から確認できます。
